イタリアの干ばつで出現した遺跡はいつの時代でどんな建造物なの?
2022年。イタリアで干ばつにより、水中に眠っていた遺跡や遺物が発見されたというニュースが流れました。
この記事では、イタリアの干ばつによりどのような遺跡が姿を現したのか。
発見された地はどのような場所なのかをお伝えします。
イタリアで出現した遺跡はいつの時代でどんな建造物?
イタリアのいくつかの地域でみつかったみたいだけど、どんな遺跡が見つかったの?
発見された遺跡には10万年前の動物の骨から第2次世界大戦中の船まで幅が広いぞ。
イタリアで水位が下がった川や湖から現れてきた物
・約10万年前:大型の鹿の頭蓋骨、サイ・ハイエナ・ライオンの骨
・紀元前2300~700年:青銅器時代の建築物の支柱
・古代(1世紀):皇帝ネロが建設した橋の跡
・中世の建造物:水中から現れた赤れんがの遺跡。橋と要塞
・中世の建造物:れんが造りの住宅
・1939~1945年:第2次世界大戦時に沈没した船2隻の残骸(イタリア参戦は1940年)
・1944年:第2次大戦中のに米国の爆撃により沈没した長さ55メートルの荷船
イタリアの干ばつで遺跡が出現したのはどんなところ?
イタリアの遺跡と言えばポンペイ遺跡が有名だけど、今回見つかった遺跡はどんな場所で見つかったの?
イタリア北西部と北東部の7か所で見つかっておるぞ。
イタリア北西部ロンバルディア州
オーリオ川
ポー川の支流であるオーリオ川からは、青銅器時代の建築物の支柱が発見されました。
水系 | ポー川 |
延長 | 280Km |
流域面積 | 6,649 km² |
水源 | コルノ・デイ・トレ・シニョーリ オロービエ・アルプス ロンバルディア州 |
河口・合流先 | ポー川(マントヴァ付近) |
コモ湖
面積 | 146 km2 |
最大水深 | 425 m |
平均水深 | 154 m |
貯水量 | 22.5 km3 |
水面の標高 | 198 m |
淡水・汽水 | 淡水 |
今船の上です✨コモ湖に来てます✨#イタリア #コモ湖 #2時間船 #ここからどこへ pic.twitter.com/7rbT56JAhQ
— カラメル猫ぷりん💙💛 (@T2OIZOqMXl81Tpf) September 9, 2021
美しい街並みが臨めます。
イタリア北東部エミリアロマーニャ州
テレべ川(首都ローマ)
延長 | 405 km |
平均流量 | 230 m³/s |
流域面積 | 17,374.996 km² |
水源 | フマイオーロ山 |
水源の標高 | 1,268 m |
河口・合流先 | ティレニア海 |
ローマ市内を流れていることで有名なテベレ川では、皇帝ネロが建設した古代の橋の跡が出現しました
テレべ川の中州には面積が2.4㎢のティベリーナ島があります。
また、テレべ川が流れるローマはイタリアの首都で、ヨーロッパ有数の世界都市でもあり、観光地としても有名です。
映画「ローマの休日」の舞台として訪れるなら、スペイン階段やサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の真実の口、トレヴィの泉、サンタンジェロ城やテヴェレ河畔などのロケ地を巡るのも良いでしょう。
ポー川沿いにある野生生物保護区
野生生物保護区では、第2次世界大戦時に沈没したとみられる、船2隻の残骸が発見されました。
現れた船は、ベネチアのジュデッカ造船所で建造されたもので、沈没したのは1943年。
ドイツの軍の攻撃を受けて沈んだとみられています。
野生生物保護区は、2013年からUNESCO生物圏保護区に指定されています。
大自然の中を山岳ガイドと共に歩くことができ、山小屋では、満点の星を見ながら眠ることができます。
ポー川
延長 | 652 km |
平均流量 | 1,540 m³/s |
流域面積 | 71,000 km² |
水源 | モンヴィーゾ – ピアン・デル・レ |
水源の標高 | 2,022 m |
河口・合流先 | アドリア海 |
ポー川からは、野生動物保護区に沈んだ2隻の船の1年後、1944年に沈んだ長さ55メートルの荷船も発見されています。
こちらも第2次大戦中、米国の爆撃により沈没したようです。
ポー川はイタリア国内で最も長い川です。
北イタリアを横断し、アドリア海まで続くイタリア最長の河川で、総延長652kmもあります。
源流のモンヴィーゾ山は、フランスとの国境付近にあります。
過去70年で最悪の干ばつの影響で、イタリア最長の川、ポー川の水位が下がっている。 pic.twitter.com/KtKjDd4PjT
— ロイター (@ReutersJapan) June 23, 2022
五輪オリンピックの開催地でもあったトリノは、このポー川に囲まれた街です。
北部ピエモンテ州のセージア川
延長 | 138km |
平均流量 | 70 m³/s |
流域面積 | 2,920 km² |
水源 | アラーニャ・ヴァルセージア付近 |
水源の標高 | 4,500 m |
河口・合流先 | ポー川 |
セージア川では、水中から赤れんがの遺跡がら現れました。
この赤レンガの遺跡は、中世の橋と要塞と特定されました。
セージア川には、カヌーの学校がある程カヌー愛好者が多くやってきます。
2001年にはカヤックのヨーロッパ選手権、2002年にはカヌーの世界選手権が行われています。
アレッサンドリア付近のポー川沿い
イタリアの干ばつはなぜ起きた
Italy right now.
It’s coming, and we are not ready. pic.twitter.com/PTIVtmHT3g
— Mike Blackmore (@Blacky_Himself) July 12, 2022
SNSにあげられた現地の様子です。
本当にカラカラで、とても水があった場所には思えませんね。
あんな豊かな川や湖が干上がるような干ばつはなんで起きたのかな?
北イタリアでの水不足の原因は、冬から春にかけての異常な暑さと雨の少なさにあります。
ローマは、11月から2月くらいまでの間降雨量が上がり、夏場はもともと雨はあまり多くありません。
ローマの気温は東京とほぼ同じで、8月の気温は31℃位です。6月も27℃程。
それが、2022年6月には40℃越えを記録したというので、今年の暑さは異常と言えます。
極端な気温上昇によるものが、ここ70年間で最悪のイタリアの干ばつの大きな原因となっているようです。
その結果として、河川の水位が極端に低下し、幾つもの歴史的な遺物や遺構が姿を現す事態になったのです。
イタリア政府が緊急事態を宣言
水の底で眠っていた遺物が姿を現すという事態に、イタリア政府が緊急事態を宣言しました。
コロナで緊急事態宣言という単語に慣れてしまいましたが、これは非常に大変なことです。
水が不足するということは、人間の生活に直結する一大事ですからね。
そこでイタリア政府はポー川流域の北部5州について、非常事態を宣言したのです。
対象となったのは、エミリア・ロマーニャ、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア、ロンバルディア、ピエモンテ、ヴェネトの5州です。
イタリア政府は「今回の非常事態は、特別な手段や権限で現在の状況に対応することが目的だ」と説明し、水不足の緊急資金として5州に3650万ユーロ(約52億円)を支給することにしました。
イタリアを70年ぶりの干ばつが襲っている。いくつかの都市では水の使用を配給制にしているほか、オリーブオイル、乳製品、小麦などあらゆる農産品の生産が危機に立たされている。最大の氷河は熱波で崩壊。専門家は気候変動の影響と指摘する。 https://t.co/jw77u5Umq7
— Kenji Shiraishi (@Knjshiraishi) July 15, 2022
イタリアの干ばつで出現した遺跡はいつの時代でどんな建造物なの?まとめ
イタリア政府による緊急事態宣言が発令されるほどの異常事態に見舞われて、現代に現れた過去の遺物たち。
古いものは、10万年もの間水の中に沈んでいて、それを現代の科学が解析できるということにも驚きを感じます。
中世の建物や第二次世界大戦で沈んだ船など、今までわからなかった歴史上の何かを知るきっかけになるかもしれません。
しかし、長いイタリアの歴史の中で、水底に眠る物が確認できる程に、水位が下がったことはないでしょう。
緊急事態が宣言された北部5州はもちろん、水不足に悩むイタリアの人々や自然に暮らす生き物に一日も早く豊かな水が戻ってくることを願っています。